マイホームの購入は人生でとても大きな買い物です。
そんな大きな買い物をするにあたり、
少しでも少ない予算で、好立地な土地を検討するときに旗竿地はとても良い選択肢の1つになり得ます。
しかし、
そんな『旗竿地』の情報を調べようとすると
『旗竿地 恥ずかしい』や
『旗竿地 後悔』などが候補ワードに・・・
でも、
実は不動産関係者が旗竿地にマイホームを建てているケースは多いのを知っていますか?
それは、旗竿地はデメリットになり得る特徴もありますが、メリットの多い旗竿地も存在するからです。
この記事を読むことで、なぜ不動産関係者が旗竿地で失敗しないのかも分かります。
- 旗竿地のメリットデメリット
- 旗竿地の注意ポイント
- 旗竿地の選び方


旗竿地の特徴をしっかり把握し、
好立地
低予算
広々
と三拍子揃った理想の土地を見つけましょう。
旗竿地とは


上の図のような形状の土地を、見かけたことがある方も多いと思います。
「旗竿地」とは、
不動産や土地に関する言葉で、イメージしやすい例を挙げると、土地が道路に面している部分が細長く、その奥に建物が建っているような状態の土地の形状を指します。
土地そのものが長方形や正方形ではなく、一部分が細い道路に続いているような形状を持っている場合、それを「旗竿地」と呼びます。
なぜ「旗竿地」と呼ばれるのかというと、土地の形状が旗竿(フラッグの柄に似た形)に似ているからです。
こういった形の土地は
「旗竿地」の呼び名の他に
「敷地延長」または
「専用通路」
などと呼ばれることもあり、
かなり特徴的な形をしているので、好みも分かれやすいです。
旗竿地が出来る理由


旗竿地ができる主な理由は、土地の分筆や土地利用の最大化です。
土地所有者が大きな土地を複数の小さな区画に分割する場合、Aのような形の分筆が理想的です。
しかし、間口が狭いBのような土地の場合、Aのような形の分筆が出来ません。
そこで、Aと同じように4つの住宅用地をつくるため、旗竿地が出来ることとなります。


建築基準法により、敷地が2m以上道路に接していなければ建築が出来ない決まりとなっています。
旗竿地の特徴
旗竿地の特徴として、通常よりも安く広い敷地を所有できることが挙げられます。
しかし、旗竿部分の通路は、通行するための道路や車のアクセスに制約を持つ可能性があり、建築の際制限をもたらす可能性もあります。


メリットもデメリットも大きいのが旗竿地の特徴とも言えます。
しっかりと特徴を理解しておきましょう。
旗竿地は恥ずかしい?


住宅販売の仕事をしていると、たまに「旗竿地は恥ずかしい」と言われることがあります。
・周りに比べ土地が安い
・自分の家が奥まっていて見えにくい
聞いてみると上記の2つが主な理由です。
上記2つは特徴として間違いではありません。
しかし、人によっては
・お買い得
・隠れ家的で格好いい
・プライバシーが守られる
と肯定的に捉える人がいることもまた事実です。


見る人や考え方によって、長所にも短所にもなりうる特徴が多いのも、旗竿地の魅力の1つだと思います。
恥ずかしいのは『旗竿地だから』ではありません
旗竿地の中には、人によっては恥ずかしいと思うような旗竿地があるのは事実だと思います。
でも、例えば
・都会志向の人が田舎の土地を見たとき
・とても広い土地で育った人が小さな土地を見たとき
・静かな環境で育った人が線路沿いの土地をみたとき
自分の感性と、ずれた土地に住むことが「ここに住むのは恥ずかしい」と思う原因です。
これは、整形地や角地、南向きの土地など、どのような土地でも起こり得る話です。
つまり、『旗竿地が恥ずかしい』わけでは無く、自分の感性と合わない土地だから恥ずかしく感じるのです。
マイホームは人生の中で、とても大きな買い物です。
理想の土地を見つけるためには、自分で選択肢を狭めてしまうのではなく、まずは土地の特徴を正しく知ることが大事です。


良い旗竿地と悪い旗竿地を見分ける知識をつけ、選択の幅を広げた土地探しをしましょう。
旗竿地のデメリット10選


まずは、旗竿地でデメリットとなる可能性のある特徴をまとめたので見ていきましょう。
- 建築・インフラコストが割高になるかも
- 光や風が入りにくいかも
- 売却時に苦労するかも
- 防犯面が不安かも
- 駐車場が使いずらいかも
- 除雪が大変かも
- 電気の中継ポールが必要かも
- 風水的にはあまりよろしくない
- 郵便ポストまでの距離
- 自分の家が見えにくいかも


旗竿地でも検討する土地の条件によってはデメリットが消え、メリットだけが残る場合も多くあります。
価格が低く設定されているため条件の良い旗竿地はかなりお買い得になります。
建築・インフラコストが割高になるかも
旗竿地は、通常の敷地と比べ建築にかかるコストが高くなる場合があります。
なぜなら、
建築の際、通路が狭いと重機が入れず手作業になる可能性があり、特殊な設計や工事が必要となるからです。
さらに、
道路から建物までの距離が長いので、上水や下水の管も長くする必要があり、その分インフラ整備にかかるコストが上がってしまうケースもあります。
少し先の未来の話になりますが、建物の解体時にも同様の理由で費用が高くつく可能性があることは知っておきましょう
専用通路の接道部分が広めの旗竿地の場合、通常のコストで建築可能なケースもありますし、整形地と同じコストで建てる建築会社もあります。


旗竿地を検討する場合、特別な費用がかからないか必ず建築会社に確認しておきましょう。
日当たりや風通しが悪いかも
『旗竿地』の場合、
密集していることが多いため、土地が他人地に囲まれ、その影響で光や風が入りにくい可能性があります。
『旗竿地』でも敷地が大きければ問題ないですし、隣が公園だったり駐車場の場合もあります。


周りが建物で囲まれているような
『旗竿地』は価格が低くても避けるべきだと思います。
売却時に苦労するかも
『旗竿地』は整形地と比べ、検討物件から除外して考える人がいるのも事実です。
そのため、将来的に売却をする際には売り出しの価格をよく考える必要があります。
しかし、『旗竿地』特有のメリットを知っている人からの需要はありますし、適正価格で販売をすれば必ず買主は見つかります。
僕は『旗竿地』の販売に苦労したことはありません。


そもそも営利目的のマイホーム購入ではないので、
今の家族が楽しく快適に過ごせるかどうかが大事です。
防犯面が不安かも
「旗竿地」は奥行きがあり、道路から離れた部分に住宅が建てられることが多いため、防犯面に不安を覚える人も少なからずいます。
なぜなら、
建物が道路から遠い場所にあると、不審者や泥棒にとって隠れやすい状況が生まれるからです。
近年の戸建てはセキュリティ面も強化されており、かつ、塀に囲まれた外構はほとんどなく、見通しの良い『オープン外構』が主流になっています。
それでも防犯面で不安を感じるのであれば防犯カメラやセキュリティアラーム警備会社との契約を検討してみましょう。
駐車場が使いづらいかも
道路に接している敷地(間口)が狭い旗竿地では、駐車場の配置が難しいことがあり、運転に不慣れだと、ぶつけてしまったりストレスに感じたりすることもあります。
また、旗竿地の場合は基本的に並列駐車が難しく、縦列駐車しか選択肢がないこともデメリットの1つです。
運転が不慣れな人は、間口の広い旗竿地や、前面道路が広い旗竿地を検討するようにしましょう。
除雪が大変かも
旗竿地は、
道路に面している部分が狭いため、整形地と比べ雪が積もると除雪が大変な作業となります。
また、
雪寄せのために庭地を犠牲にすることが多いため、庭の利用が制限されることもあります。


雪が多いエリアでの旗竿地は、除雪のことも考えて検討しましょう。
電気の中継ポールが必要かも
旗竿地は、
道路から建物までの距離があるため、電力を供給するための中継ポールが必要になるケースがあります。
その場合は追加の費用と、見た目にも影響することがあるため注意しておきましょう。
旗竿地の場合は必ずというわけではありません。
地域の電柱や電線の状況によって、必要かどうかが変わります。


中継ポールが必要な場合は、費用もかかり景観にも影響がでるので、必ず事前確認をしましょう。
風水的にはあまりよろしくない
旗竿地は
風水的にはあまり良く見られないことがあります。
これは、土地が通りから奥まで延びているため、エネルギーの流れが制限されると考えられるからです。
風水の考え方だと、整形地に近い方が好まれる傾向にあるため、旗竿地のような不整形地は不運をもたらす可能性があるとされています。


建物を建てる際、
風水の考え方に重きを置くことで納得する人もいます。
郵便ポストまでの距離
旗竿地に住む場合、郵便ポストまでの距離が通常長くなります。
郵便物を受け取るため、毎回遠くまで歩かなければならないことに不便を感じる人もいます。
また、
郵便配達員にとっても、アクセスが制限されることから、郵便物の受け取りと配達が難しくなる可能性があります。
自分の家が見えにくいかも
旗竿地は道路から奥に入っているため、道路から自分の家が見えにくくなります。
基本的には好みの問題ですが、デメリットとして理由を付けるのであれば、家全体を写真に収めるのが難しく、自宅の売却や、賃貸に出す際に建物全体の外観写真でのアピールが難しくなる点です。
恥ずかしくない旗竿地メリット6選


旗竿地には確かにデメリットがありますが、
それが決して「旗竿地が恥ずかしい」ということにはなりません。
なぜなら、
旗竿地は特有のメリットもとても大きく、実は不動産に詳しい人ほど旗竿地が好きな人は多いのです。


ちなみに、
僕の知り合いの住宅営業マンも何人かは旗竿地を購入しマイホームを建て住んでいます。
ですので、ここからは旗竿地のメリットについて詳しく説明していきます。
どんなことでも良い点もあれば悪い点もあります。
理想の土地を手に入れるため、旗竿地のメリットもしっかり理解して選択肢の幅を広げましょう。
以下は旗竿地ののメリット6選です。
- 価格が安い
- 建物の自由度が高い
- 音が入りにくい
- 視線が気になりにくい
- プライベートスペースを作りやすい
- 安全


もちろん条件にもよりますが、価格が安い分『旗竿地』は広めの土地が多く、庭スペースも取れることが多いので僕自身旗竿地けっこう好きなんです。
小さい子供がいる家族は喜んでくれる事も多いです。
価格が安い
旗竿地の中でも1番有名なメリットが価格の安さです。
旗竿地は整形地の土地と比べると、需要が低いため1坪当たりの単価がかなり低く設定されているのが一般的です。
そのため中地と比べ200万円~500万円前後の価格差がつくこともあります。


土地の予算を抑えることで、住宅ローンの借入額を減らしたり、建物に予算を回すことが出来ます。
建物の自由度が高い
旗竿地は通路部分を駐車場のスペースとするため、通路奥を全て建物スペースとして利用できます。
また、通路部分も敷地面積に含まれるため容積率や建蔽率も通路部分込みの面積で計算することが出来ます。
そのため、
大きな建物も建てやすくなります。(通路の長さや間口によっては異なります。)
音が入りにくい
旗竿地に建つ建物は専用通路の奥になります。
そのため、建物から前面道路まで距離があり、交通の流れから離れた場所に位置することになります。
ですので、騒音や生活音なども入ってきにくく比較的少なく静かで穏やかな環境を楽しむことができます。
視線が気になりにくい
旗竿地は、土地形状の性質上奥まった場所に建物が建ちます。
そのため、通行人などの視線を気にすることのない生活を送ることが出来ます。
プライベートスペースを作りやすい
旗竿地は整形地と比べ敷地面積が広い事が多く、これにより、広々としたお庭や屋外のリラックススペースを確保するのに適しています。


家族でのプライベート空間を楽しみたい人にとっては、とても大きなメリットの1つです。
安全
旗竿地は、通常の道路から離れた位置にあるため、交通事故や騒音からのリスクが低いことがあります。住環境の安全性について説明します。


道路への子供の急な飛び出しの心配も少なくて済みます。
旗竿地で後悔しないための注意ポイント6選


ここまで旗竿地に関する特徴を中心にお伝えしてきましたが、ここでは実際に旗竿地を検討する際に注意しなければいけないポイントを紹介していきます。
旗竿地で後悔しないための注意ポイント6選
- 専用通路の間口が2m未満の旗竿地
- 専用通路の間口は3m以上が理想
- 前面道路4mの旗竿地
- 四方すべて囲まれている旗竿地
- 共有私道の罠
- 建ぺい率・容積率に騙されないで
専用通路の間口が2m未満の旗竿地


今の法律では、接道(間口)が2mに満たない土地に建築することは出来ません。
(条例により、2m以上必要な地域もあります)
つまり、接道(間口)が2m未満の土地を購入してしまった場合新築を建てることが出来ず、
古家が建っている場合でも、再建築不可となってしまうため注意しましょう。


旗竿地は、専用通路の最も狭い位置で、2m以上の幅を確保する必要があります。
専用通路の間口は3m以上が理想
建築基準法では、
接道が2メートル以上必要ですが、実際に駐車場として利用することを考えると、2mの幅ではかなり厳しいです。
車種 | 全長 (mm) | 全幅 (mm) | 全高 (mm) |
---|---|---|---|
ワゴンR(Suzuki Wagon R) | 約3,395 | 約1,475 | 約1,650 |
プリウス(Toyota Prius) | 約4,540 | 約1,760 | 約1,470 |
ステップワゴン(Honda Stepwgn) | 約4,800 | 約1,750 | 約1,840 |
上記のサイズ表に基づき、
通路幅2mから3.5mまでの車と空きスペースを見てみましょう。




駐車した車からの乗り降りや荷物の出し入れ、また、車の脇を自転車やバイク、大型荷物などが通ることを想定すると、道路幅は3m以上あることが理想です。
前面道路4mの旗竿地


では、次は駐車時における通路幅と前面道路の関係を見ていきましょう。
接道(間口)が2mある旗竿地であれば、法律上建築基準は満たしているので、もちろん建物を建てることは出来ます。
しかし、
車を所有している場合だと、実際のところ間口が2m、前面道路4mの場合、駐車はかなり厳しいです。
前面道路の広さによって駐車の難易度も変わるため、間口の狭い旗竿地を検討する場合は実際に駐車をして、事前に感覚を知っておきましょう。
前面道路での車のすれ違いが可能かどうか、また、交通量が多いかどうかも確認しておく必要があります。


間口2mの通路に駐車するのであれば、前面道路は5m以上の旗竿地をおすすめします。
四方すべて囲まれている旗竿地
四方すべてが囲まれている旗竿地だと、日当たりや風通しに期待は出来ず、人によっては大きなストレスになる可能性があります。
しかし、
中には隣地が公園や墓地などになっていたり、
とても大きな敷地の庭に面していたり駐車場に面している場合もあり、その場合は日当たりや風通しを確保することで出来ます。


駐車場や他人地の庭に面している場合、将来的に建物が建つ可能性もありますので注意しましょう。
共有私道の罠


旗竿地が隣接する場合、
通路部分を共有し、上の画像のようにAB双方が持分を持つことがあります。
お互いが共有部分の所有権を持つため、通路部分を有効に使えたり、維持するための費用を分担出来るメリットがあります。
しかし、共有私道のメンテナンスや改善についての意見が合わない場合や、費用負担が均等に分担されるため、一方にとっては不公平になってしまう可能性もあります。
共有私道は、アクセス権やメンテナンスに関する重要な問題が発生する可能性があるため、慎重に計画し、契約を作成し、法的アドバイスを受けることが重要です。


仲の良いお隣さんと言えど、仲たがいや代替わりした時のリスクはとても大きいと思います。
こちらの記事では、
前面道路の重要性と僕が目の当たりにした、共有私道が原因の怖い話を紹介しています。
マイホーム[土地探し]【前面道路】で失敗しない為の重要ポイント3選
建ぺい率・容積率に騙されないで


旗竿地の中でも、きれいな旗竿地があれば
いびつな形の旗竿地も存在します。
旗竿地は、
竿の部分の面積も含め建ぺい率・容積率の計算をするため大きな建物を建てやすい土地です。
しかし、
せっかく建ぺい率・容積率をクリアしても、建物を建てる旗の部分の形が悪かったり、旗部分が小さかったりする事で思うような建物が建てれないケースもあります。


建ぺい率・容積率がクリアできても、油断せずに事前の確認はしっかりしておきましょう。
8. 旗竿地のリアル:後悔や選んで良かったの声を集めました


実際に旗竿地で生活をしている人の投稿を
いくつか集めました。


ご近所付き合いもありますし、
迷惑にならないよう心掛けることも大切ですね。
まとめ: 旗竿地=恥ずかしいではない


ここまで読んでいただければ、
一言で旗竿地と言っても、デメリットが目立ってしまう旗竿地もあれば、メリットの多い旗竿地があることも分かっていただけたと思います。
住宅営業マンが好んで買っているように、旗竿地は決して恥ずかしくはありません。
僕が実際に住宅販売の仕事をして携わってきた中でも、良い旗竿地はけっこうたくさんあります。
あきらめずに探してみましょう。
最後におさらいとして注意ポイントを書き出しておきますので参考にしてください。
- 専用通路は3m以上が理想
- 前面道路の広さで駐車の難易度が変化する
- 四方の建物環境は変わる可能性がある
- 共有私道は注意
- 旗部分の形と大きさに注意