自分の検討物件の目の前にある道路。
これを【前面道路】と呼びます。
この【前面道路】が実はすごく大事で、意味を理解しないままに物件を決めてしまうと最悪裁判沙汰になったり取り返しのつかない事になってしまう可能性もあります。
お家探しをしていると【公道】や【私道】・【セットバック】など、
「目にしたことや聞いたことはあるけれど、どういう意味かまでは知らない」という方も多いと思います。
僕自身も住宅販売の仕事をしていなかったら土地やお家に興味が向いてしまい、道路までは気が回らずに話を進めてしまっていたかも知れません。
この記事では僕の実際の体験談を交えながら、取り返しのつかないような失敗をしないよう、【公道】や【私道】・【セットバック】の解説から【前面道路】の見るべき注意ポイントを『分かりやすく3つ』に絞って説明していきます。
ではさっそくですが3つのポイントは下記のとおりです。
- その道路公道ですか?私道の場合、私道負担はありますか?
- 前面道路の幅は何メートル?(セットバックは必要?)
- 生活道路や通り抜けは大丈夫?
土地探しポイント①公道?私道?私道負担はありますか?
道路は大きく分けると【公道】と【私道】の2種類に分けることが出来、前面道路の種類によっては既存の建物の取り壊し後に、再建築が出来ない場合もあります。
見た目だけでは公道なのか私道なのかの判断は出来ないので、販売している不動産屋さんか役所や役場の建築や都市計画を担当している部署に確認しましょう。
【公道】とは国道や県道などのように一般の交通などに使われている道路の事を指します。
国や市町村、地方公共団体などが管理している道路で国道や、県道などのように一般の交通などの為に使われている道路の事です。
新しいお家が立ち並んでいたりお店などがあったりするような、普段何気なく使っている道路はたいていがこの【公道】になってくると思ってもらえれば分かりやすいと思います。
では、【私道】とはどういった道路を指すのでしょう。
【私道】とは個人や企業など団体が所有する道路の事を指します
【私道】は【公道】とは違い、個人や企業などが権利を持った道路の事を指します。
例えば生活の中で、道路に[私道につき通行禁止]と立て看板があるのを見かけたことがありませんか?
あれは国や県などの注意喚起ではなく、多くは個人が置いているものです。
もし、検討するお家(土地)の前の道路がこの【私道】にあたるものだった場合は注意が必要となります。
なぜならその【私道】のすべての権利は国や県などではなく、個人や企業にあるからです。
私道負担とは接道義務を果たすために敷地の一部を道路として負担する事です
つまり、自分の敷地の一部を使って道路の幅を広げるイメージですね。
あくまでもこの場合は自分の敷地になりますので【固定資産税】もかかりますし、道路や水道管などの整備も自己負担となります。
ただし、私道として提供している形なので、緊急車両の妨げになるような障害物などを置くことはきんしされていますので注意が必要です。
僕が目の当たりにした【私道】にまつわる怖い話
僕は基本的に土地や新築のお家の販売をしているのですが、話を聞きに来るお客様の中には今住んでいるお家を売却して、その資金を使い新しいお家の購入を考えているという人もいます。
そういった場合はまずお客様のお家の査定をし、いくらくらいで売却出来るのか相場を調べる事から始めるのですが、とあるお客様Aさんのお家の調査をしている中でとんでもない問題に気づきました。
Aさんが住んでいた場所は、細い道を通った行き止まりにお家が6軒建っていて、突き当りのうちの1軒だったのですが、この細い道が【私道】だったのです。
これの何が問題なのかと言うと、①~⑥までの全員で持分を持ち私道負担している形なので、この場合Aさんのお家に行くまでの道路を通行するためには①~⑥まで全員の許可が必要になるのです。
Aさんの家は築50年くらいのかなりの古家だったので、買ってくれる人の事を考えると建て替えが必要でしたが、古くなったお家を取り壊し、新しくお家を建てようにも工事車両を通すならお金を払うように言う人や、代替わりしていてどこに住んでいるか分からない人もいました。
結局Aさんは売却を諦めてしまったのですが、1番いたのはAさん自身がお家の前の道が【私道】で、リスクがある事を理解せずに購入していた事でした。
このケースは、昔は土地を購入する前に必ずしなければならない【重要事項の説明】もかなりいい加減な業者が多かったのと、Aさんの人を信用しすぎる性格が相まって起きてしまったケースですが、同じような事が現代では起きないとも言い切れません。
検討しているお家の前の道路が【私道】の場合は特に気を付けましょう。
旗竿地の土地でも、専用通路部分が共有私道になっている場合があるので注意しましょう。
おまけ【里道】【水路】
あまり聞きなれない言葉かも知れませんが、昔ながらの街並みにはたまにある【里道】や【水路】についても少しだけ説明をしておきます。
【里道】や【水路】は道路法や河川法などには分類されず、〈法定外公共物〉と呼ばれます。
これは見た目的には[道(通路)]のような見た目の物が多く、元々は国が所有していたのですが、現在は市町村に譲与されています。
見た目は[道(通路)]なのですが、道路でもありませんので里道や水路では建築基準法上の接道義務を果たすことは出来ません。
予備知識としておまけ程度に覚えておいてください。
土地探しポイント②前面道路の幅は何mありますか?【要セットバック】となっていませんか?
次はお家の前の道路幅について書いていきますが、まず、例外はあるものの基本的にお家を建てる為のルールとして、4m以上の幅の道路に2m以上接道していなければならないという決まりがあります。
(建築基準法第43条)
では、前面道路の幅が4mに満たない場合はどうなるのでしょう。
お家探し(土地探し)をしていると【セットバック】という言葉を聞いたことがありませんか?
これは、道路の幅が4mに満たない場合は敷地を後退(セットバック)させて道路幅4mを確保し、お家を建ててくださいねとという意味の言葉です。
上の図のように道路幅が2mの場合は③と⑥で1mずつセットバックする形で4mの道路を確保します。
緊急車両などが通行できるようにする為の4m幅道路ですので、必要な事ではありますが、セットバックにはいくつか気を付けておくべき注意ポイントもありますので押さえておきましょう。
セットバックの注意ポイント
- 建ぺい率・容積率の対象が、セットバク後の土地面積となる。
- 行政によってはセットバック部分を買い取ってくれるケースもあるが、ほとんどの場合は寄付あるいは無償提供となる。
- 届け出をしないままだと固定資産税の対象となってしまう。
- セットバック部分は道路扱いとなる為、利用権はなく駐車をしたりしてはいけない。
- セットバックの費用は自己負担となるケースもある。
【建ぺい率】
上空から土地を見たときに、土地に対して建物を建てることが出来る建築面積の割合の事
【容積率】
土地に対して建築可能な立体的な面積の割合の事(例:1階と2階部分の総面積など)
土地探しポイント③生活道路(通勤・通学路)・車の通り抜け道になっていませんか。
お家探し(土地選び)をする際にはもちろん現地の確認をしたうえですすめていくと思いますが、基本的には土日・祝日に現地を見たり、見る時間帯も日中が多いですよね?
通学の時間帯や、通勤の時間帯の車の通り抜け、路上駐車の有無などの状況を確認しないまま話をすすめてしまうと、実はお家の前の道が車の通り抜けに使われていたりすることもあります。
僕が今まで担当したお客さんの中には、新生活をスタートさせてからお家の前の道路が通り抜けに使われている事を知り、泣く泣く買い替えの相談に来るお客様も何組かいましたので絶対に確認しておくべきです。
まとめ
お家探し(土地探し)は検討する土地はもちろんの事ですが、その場所で生活をすることを考えるとなると前面道路も周辺の環境も同じくらい大切なポイントです。
この記事で書いてきた失敗しない為の【前面道路】見るべきポイント3選をしっかりと押さえて後悔しないお家探しをしてください。