この記事は、高低差のある土地で出てくることの多い『掘り込みガレージ』が自分の家族に合っているかを知りたい方向けです。
一戸建ての駐車場の形は大きく2つに分けることが出来ます。
1つは庭の一部分に駐車スペースを作る一般的なタイプ。
もう1つが坂道にひな壇のように家が建てられているエリアで良く見られる『掘り込みガレージ』タイプになります。
僕自身2004年から住宅販売の仕事をしてきた中で何件か取り扱ってきましたが、『掘り込みガレージ』はかなり特徴的な構造なので好みが分かれやすいです。
メリットデメリットをしっかりと理解してお家探しの参考にしてください。
土地の高低差を有効活用!掘り込みガレージとは?
掘り込みガレージとは、道路よりも土地の地面が高くなっており、その土地の地面の下に鉄筋コンクリートで空間を作る高低差を利用したガレージのことを指します。
掘り込み式駐車場やボックスガレージと呼ばれるものも同様です。
『掘り込みガレージ』メリット7選
- 敷地を有効活用できる
- 濡れずに家への出入りができる
- 目線が気にならない
- 防犯面に優れている
- 倉庫としての利用も可能
- 見栄えがする
- 車を綺麗に保てる
メリットを見ると大変魅力的に思います。
では、1つずつ見ていきましょう。
メリット①敷地を有効活用できる
駐車場の取り方を考える際、普通車1台分で15㎡(4.5坪)程のスペースを取ります。
30坪の土地で駐車場を2台分(9坪)確保しようとすると敷地の約3分の1のスペースを駐車場に充てなければなりません。
しかし、『掘り込みガレージ』は家の地下に駐車場があるため、その分を庭のスペースとして有効活用できます。
庭が広く取れると、家庭菜園やグランピングなどの夢も広がりますね
土地の広さと空きスペースの関係は
マイホーム[土地探し]問題:あなたの家族に最適な土地の大きさは?の記事を参考にしてください。
メリット②濡れずに家への出入りができる
これは全ての『掘り込みガレージ』に当てはまるわけではありませんが、ガレージの奥から階段を使い玄関スペースにつながる形であれば、一切濡れることなく家への出入りも可能です。
カーポートと違い完全に雨を遮断できます。
濡れた地面を歩く必要もないのは大きいかも。
メリット③目線が気にならない
道路と同じ高さに駐車場があり、
その上に建物が建っている状態のため通行人や車などからの目線を気にする必要がありません。
道路との目線がぶつからないので、リビングに大きな窓を付けたり、
窓を開けて過ごすのも良いですね。
メリット④防犯面に優れている
『掘り込みガレージ』の場合、今主流となっている壁や塀のない『オープン外構』に駐車スペースがあるわけではありません。
正面にシャッターを付けることにより完全に囲まれた空間に駐車する形になるため、防犯面で非常に優れています。
大事な車を守る事が出来るため
『掘り込みガレージ』を選ぶ方もいます。
メリット⑤倉庫としての利用も可能
『掘り込みガレージ』は空間をとても広く取れるのも特徴の1つです。
車以外にも、収納棚を置いたり、自転車やタイヤ、サーフボード、ゴルフバッグ、ベビーカーなど大きな荷物を収納しておく倉庫としても利用できます。
お子さんが多い家庭など荷物が多い家庭では、
このメリットは一戸建て住宅を購入する際に大きなポイントになってきます。
生活をしていく中で、増えていく荷物を収納するスペースがあるのは、大きなポイントですね。
メリット⑥見栄えがする
道路から見て高い場所に家が建つため、
建物を見上げる形になり大きく見えます。
主観ですが、迫力のある家は高級感もあるように感じます。
見栄え重視で家探しをしている方は、
2方向から建物が見えるため角地を選択する方もいます。
角地を検討している方はデメリットも把握しておきましょう。
マイホーム[土地探し]角地を選んで失敗?気づきにくいデメリット7選
メリット⑦車を綺麗に保てる
『掘り込みガレージ』は雨風をしのぐことができるので、
駐車していて汚れたり飛来物があたり傷つく心配がありません。
車を綺麗に使いたい方や、車好きの方には外せないポイントですね。
『掘り込みガレージ』デメリット7選
- 階段が必要になる
- 工事費用が高い
- 課税対象になる
- 湿気がたまりやすい
- 防水・浸水対策が必要
- 建物が制限される可能性がある
- 枯れ葉やゴミが溜まりやすい
『掘り込みガレージ』は、
残念ながらメリットだけではありません。
デメリットもしっかりと見ていきましょう。
デメリット①階段が必要になる
地面の高さの駐車場の上に建物が乗る形になるため階段が必要になるのは避けれません。
対策として、ガレージの奥に家庭用エレベーターを付ける方法もありますが、費用がかかるためそこまでする方は少ないです。
階段が嫌な方はやめておくべきでしょう。
デメリット②工事費用が高い
『掘り込みガレージ』付きで販売されている土地もたくさんありますが、自分で業者に依頼をする場合は地上の駐車場と比べ工事の工程も多く、費用が高くなります。
費用の目安は記事の下の方に書いていますので参考にしてください。
デメリット③課税対象になる
基本的に『掘り込みガレージ』は
下記項目を満たすため、固定資産税の課税対象にもなります。
- 3方向以上を囲まれている
- 地面に固定されている
- 屋根がある
地上に駐車場を設けるのとは違い、不動産登記が必要です。
デメリット④湿気がたまりやすい
『掘り込みガレージ』はコンクリートにより密閉された空間になるため湿気がたまりやすくなってしまします。
湿気が溜まりやすいとカビが発生したり虫が集まりやすくなります。
定期的に換気するなど対策が必要ですね。
デメリット⑤防水・浸水対策が必要
『掘り込みガレージ』は地面よりも低い位置にあります。
囲っているいるコンクリートから雨水が染み出し、放っておくと雨漏りしてしまう可能性も。
防水・浸水対策はしっかりしておきましょう。
デメリット⑥建物が制限される可能性がある
掘り込みガレージの強度によって、どれだけの重量を乗せれるかが変わります。
家の大きさや材質に制限がかかってしまい理想の建物が建てれない可能性があります。
事前に建築会社に相談しておくようにしましょう。
デメリット⑦枯れ葉やゴミが溜まりやすい
風が強い日には枯れ葉やゴミが溜まりやすく、放置しておくとそこから虫も発生してしまうため定期的に掃除をしなければいけません。
掃除の手間やリスクを考えると、シャッターはしっかり付けておく方が良いですね。
『掘り込みガレージ』工事費用の目安
掘り込みガレージを新しくつくる場合
既存の土を取り除くところから始まり、掘り込みガレージを造り必要な土を戻す作業を行います。
地上の駐車場と違い、土の量や前道の状況、※掘り込みガレージの造りなど様々な要因によって工事費用は変わります。
※掘り込みガレージの造り
製品のボックスを掘った部分にはめ込む方法と、オーダーメイドで造る方法があり、既製品の方が費用は安くなります。
条件によって費用は変わりますのでしっかり確認するようにしましょう。
※『掘り込みガレージ』を作る際の作業工程はこちらのサイトが分かりやすかったです。
掘り込みガレージ造成費用の目安
掘り込みガレージは広さと高さで費用が変わります。
1番多い高さ3メートルの場合での目安は次の通りです。
- 1台分300万円~400万円
- 2台分350万円~450万円
- 3台分450万円~500万円
これは既製品の場合の目安です。
オーダーメイドはプラス50万円~100万円程見ておきましょう。
『掘り込みガレージ』解体費用の目安
『掘り込みガレージ』は基本的にコンクリート造りになっているため、
専門的な機械や工具が必要となり、解体費用は高額になります。
1坪あたり6万円〜10万円程度が相場となります。
掘り込みガレージ|建ぺい率と容積率は?
掘り込みガレージは建築物となるため建ぺい率や容積率の計算に含めなければなりません。
ただし、建物が建つ地盤面から掘り込みガレージの天井が1m以上低くなっていれば建ぺい率と容積率の計算から除外されます。
建ぺい率
建ぺい率とは真上から見たときに土地に対して建築物が占める割合の制限です。
真上から見て『掘り込みガレージ』が建物からはみ出している部分のみ関係してくるため、そこまで大きく影響することはあまりありません。
容積率
容積率に関しては『掘り込みガレージ』を含めた建築面積の5分の1までの『掘り込みガレージ』分は計算から除外できる決まりとなっています。
建物100㎡+掘り込みガレージ20㎡の場合
120㎡の5分の1である24㎡までの車庫は除外出来ます。
まとめ
冒頭で説明したように、『掘り込みガレージ』はメリットデメリットがはっきりとしているため好みが分かれやすくなっています。
敷地の有効活用が出来、駐車場だけではなく倉庫としての役割まで果たせる『掘り込みガレージ』ですが、デメリットもしっかりとあります。
デメリットも理解したうえで自分の家族に合っているか判断してみてください。