『境界』は
土地選びで失敗しないために必ず確認しておかなければならない項目の1つです。
境界が原因で隣地とのトラブルに発展してしまうことは良くある話です。
単純に境界ブロックがあるから安心というわけでもありません。
実は境界ブロックも積んでいる場所が境界の内側なのか外側なのか施工業者によって違ったりしています。
では内側の場合と外側の場合で何が違うのか、また、境界ブロックが積んでいない場合は?
この記事では境界が原因で実際に起きたトラブルの話を交えながら気を付けるべきポイントを書いていきます。
隣地境界の定義と意義
隣地境界とは、一つの土地と隣接する他の土地との間に存在する境界のことを指します。
隣地境界は正確に把握しておかなければトラブルの原因になってしまう事があるため、マイホームの購入にあたりとても重要なポイントです。
隣地境界の法的な制約
隣地境界には、地方自治体や国の法律によって法的な制約があります。
具体的には、隣地境界の位置を示すための測量や登記制度、隣地との境界の明確化に関する規定があり、マイホームを購入する際には、これらを理解し手続きを進めることが大切です。
マイホーム購入時に注意すべき隣地境界のポイント
マイホームを購入する際には、隣地境界を正確に把握するための確認方法があります。
一般的には、測量士による測量や地籍図の確認が行われます。
また、地方自治体の土地情報公開サイトや国土交通省の関連データを活用することで個人で確認することも可能です。
土地の形状と隣地境界の関係
マイホームの土地の形状と隣地境界の関係は密接に関連しています。
例えば、土地が細長い場合や不整形な形状を持つ場合、特に隣地境界に関する注意が必要です。
土地の利用や建物の計画に支障がでないよう、隣地境界との距離や接触部分の位置を確認しておきましょう。
隣地境界に関わる権利関係の調査
隣地境界を把握する際には、権利関係の調査も重要です。
隣地との共有施設や敷地内に通るパイプライン、負担物件などが存在する場合、将来的な利用や維持管理に影響を与える可能性があります。
トラブルを未然に防ぐためにも隣地境界に関わる権利関係を確認しておきましょう。
現地で境界を確認してみましょう
境界を示す形は境界杭や境界鋲など様々ですが、最近では金属のプレートが一般的です。
地面にこんなプレートが付いているのを見たことがあると思いますが、これが境界を示しています。
『ここまでが一つの土地ですよ』と示していますので、土地の四方それぞれにこのプレートがちゃんとついていて土地の形が分かるようになっていれば大丈夫です。
多区画の分譲地などの場合は特に分かりやすく、境界ブロックやフェンスも入れているところが多いですね。
ただし、境界問題は後々のトラブルに繋がりやすいポイントなので自分達だけで確認し、思い込みで決めつけないよう必ず不動産屋さんや売り主と一緒に確認してください。
境界ブロックの位置にも注意!
境界を分かりやすくするために境界線にブロックを入れていることがほとんどですが、境界ブロックの入っている場所にも注意が必要です。
上の写真は2枚とも境界ブロックの写真ですが、ブロックを積んでいる位置が違います。
左側のブロックは境界の内側に入っており、境界ブロックが入っているほうの土地の所有者の物となります。
これに対して右側の写真のように境界線の真上にブロックが入っている場合は共有のブロックとなります。
新しく安全なうちはそこまで気にならないかもしれませんが、古くなったり地震などで傾いたりしてくると大変です。
積みなおしをするにもお金もかかる事ですし、隣地の人が話の通じる人であれば良いのですが最悪の場合を想定すると恐ろしすぎますよね。
購入前に不動産屋さんにきちんと確認をして、ちゃんと取り決めをしておいてください。
隣地との間に境界プレートがない場合
ごくまれに写真のような特殊な状況もあります。
こちらの土地には境界を示すものがなく、測量した結果奥のブロック外側が境界になっていました。
つまり、手前のコンクリート部分はこちらの土地の中に越境している形になります。
検討する土地がこのような状況の場合、
トラブル回避のためにも次の項目について隣地所有者と書面での取り決めがきちんと出来ているか確認しておきましょう。
- 境界ラインの認識の共有
- 越境部分のコンクリート除去許可
隣地境界トラブルのリスクと解決方法
隣地境界トラブルの種類と原因
隣地境界にはさまざまなトラブルのリスクが存在します。
例えば、隣地所有者との間で境界線の位置についての争いが発生することや、隣地の建築物や樹木が所有者の土地に侵入することがあります。
これらのトラブルの原因を理解することで、予防策を講じることができます。
隣地境界トラブルの解決手段
隣地境界のトラブルが発生した場合、まずは円満解決のために隣地所有者との対話を試みてみましょう。
また、必要に応じて地方自治体や法的な専門家のアドバイスを受けることも有効です。
公的機関の関与と裁定の役割
地方自治体や国土交通省は、隣地境界に関する情報提供や調停・裁定のサポートを行っています。
隣地境界のトラブルが解決しない場合には、相談してみましょう。
公的機関や裁判所の関与は、公正な判断や専門的なアドバイスを受けることができるため、トラブルの収束に役立ちます。
隣地境界に関する公的機関の情報
土地を探しているエリアが遠方だったり、
忙しくてなかなか現地に行けない場合は公的機関の情報をリサーチするのも一つの方法です。
地方自治体の土地情報公開サイト
地方自治体は、土地情報公開サイトを運営していて、土地の境界情報や測量データ、地籍図などの情報を提供しています。
国土交通省の関連データ
国土交通省も、隣地境界に関連するデータや情報を提供していて、国土交通省のウェブサイトで確認することができます。
参考URL:国土交通省地籍調査Webサイト
マイホーム:実際に境界が原因で起こったトラブル
住宅販売の仕事を長く続けていると色々なトラブルに直面することがありますが、境界に起因するトラブルも少なくありません。
僕が実際に直面したトラブルとその後をお話しますので、こんなことになるなら気を付けようと思っていただければ嬉しいです。
境界が原因で起こったトラブルその①境界不確定
この話はぼくの勤めている会社が土地の仕入れをする際に起きた話です。
兄弟で隣同士にお家を持っていたのですが、お兄さんが新しくお家を購入した際に元々住んでいたお家を僕の会社に売却をしました。
買い取った後、古家の取り壊しをしたのですが、弟さんのお家との境界を示すものが無く、境界についてお兄さんと弟さんの認識にズレがありお互いの主張が食い違ってしまったんです。
地積測量図といって法務局に備え付けられている図面を基準に買い取りをしたのですが、これがかなり古かったため弟さんもなかなか納得してくれませんでした。
法務局を管轄する法務省は、昭和52年9月3日以前の地積測量図は現在の基準よりも低精度のものがあるとしています。
何回も話し合いを重ねた結果、最終的には弟さんがお兄さんの主張を容認してくれて境界確定をしたのですが、兄弟間でもこういった認識のズレが起きてしまうので、昔の街並みの中で土地の購入を考える場合は特に注意が必要です。
境界が原因で起こったトラブルその②越境えっきょう
これはトラブルというほど大変な事にはなりませんでしたが、問題解決にかなり時間と労力がかかりました。
当時僕が担当していた物件(売り土地)の敷地内に、お隣さんのお家から生えている木の枝の一部が越境していたのです。
越境とは屋根とか木とか住宅設備とかが敷地を超えて侵入していることを示します。
取り合えずお隣さんのお家を訪ねてみたのですが不在。
日にちを変え、時間を変え何度も訪問しましたが不在。
手紙を投函し、一月後くらいに娘さんからやっと連絡をいただけました。
お隣さんにはお父さんが住んでいたそうなのですが、当時娘さん夫婦と同居しており庭の手入れも全くしていなかったため草や木が伸び放題になっていたそうです。
最終的には無事お父さんに立ち会ってもらい木の枝を切りついでに草抜きもさせてもらい綺麗な庭に戻りました。
まとめ
僕が携わったケースでは幸い最終的に事なきを得ていますが、隣地の人が海外や遠くに住んでいる事もあるでしょうし、きちんと相続などが出来ていないケースもあります。
せっかく気に入った土地を買えたのに、後から隣地トラブルが出てくるなんて事は想像しただけでもぞっとしますよね。
『境界』が原因で
思いもよらないようなトラブルに繋がってしまう可能性があるので気を付けましょう。