SNSやインターネットなどを見ていると
「地盤改良費に〇百万円かかる事が判明し、泣く泣く物件を諦めた」
などの書き込みを見かけることがあります。
せっかく気に入った土地が見つかり話を進めていたのに、最終段階で高額な地盤改良費が必要だと判明し、マイホーム計画の見直しが必要となるケースもあります。
とはいえ、土地が決まり、工務店やハウスメーカーなどに実際【地盤調査】を依頼しなければ明確な『地盤改良費』は出てきません。
しかし、個人でも土地探しの段階で、検討物件の地盤の状況を調べる方法はあります。
この記事では使いやすい『おすすめ地盤マップ』と『地盤改良費の目安』を紹介していきます。
地盤改良費が原因で検討物件を諦めたり、マイホーム計画の予算組みの大幅修正をせずに済むよう下調べをしておきましょう。
地盤強度を知る重要性とは
地盤は住宅を支えるとても大事なポイントです。
地層の種類や年代などによって硬さが違いますし、
建物の重たさによって、必要とされる地盤の強さは変わります。
地盤の柔らかい『軟弱地盤』の土地では『地盤改良』を行う事によって地盤沈下を防ぎます。
地盤の硬い『硬質地盤』の土地では『地盤改良』の必要が無かったり、小規模の『地盤改良』で済む場合もありますのでマイホーム計画のコスト削減にも大きく関係してきます。
地盤の状態によって、マイホーム計画の予算組みが大きく変わってしまう可能性があるので、地盤強度をあらかじめある程度把握しておくことはとても重要なことですね。
軟弱地盤のデメリットを知ろう
マイホーム用地として候補に挙がった場合、軟弱地盤は以下のようなデメリットを持っています。
- 安全性の確保に地盤改良工事が必要になることがある。
- 建物の基礎工事費用が高くなる可能性がある。
- 地震などの自然災害に対して、建物の耐震性が低くなることがあり、追加的な工事費用が必要になることがある。
- 周辺地域のインフラ整備費用が増加することがある。
- 建物の形状や高さに制限があることがあり、建物の構造物に関する法規制がより厳しくなることがある。
検討するエリア一帯が地盤の弱いエリアの場合、
災害時などに被害が大きくなる可能性も踏まえて検討しましょう。
硬質地盤・軟弱地盤ってどんな土地?
一般的には標高の高い土地には『硬質地盤』が多く、標高の低い土地には『軟弱地盤』が多いとされています。
ただし、標高の高い『硬質地盤』でも斜面地になっていて土砂崩れや地すべりの危険性があったり、標高の低い土地でも川沿いなどで自然堤防と呼ばれる強い地盤の土地はあります。
特徴を理解し、
上手に土地選びをしましょう
硬質地盤
硬質地盤は土地自体の強度が強く、硬く締まり、丈夫な性質の地盤です。
岩盤や砂礫を多く含む土からなり、『硬質地盤』は山地や丘陵地の切土部分、台地などに多く見られます。
軟弱地盤
軟弱地盤は土地自体の強度が弱く、透水性が低く耐久性や圧縮性が低い地盤です。
やわらかい粘土や砂からなり、『軟弱地盤』は丘陵地の盛土部分、埋め立てした土地や標高が低く水分を多く含む場合に多く見られます。
【地盤調査】費用の目安
一般的に、購入する物件が決まると工務店やハウスメーカーなどを経由し、地盤調査をしてもらう流れになります。
その時にかかる
地盤調査費用は5万円~10万円前後が相場となりますが、
建築会社が負担してくれるケースもあります。
地盤サポートマップで簡単に検討物件の地盤を調べよう
検討物件の地盤状況を知る方法としては、
不動産業者に近隣の地盤調査データの取り寄せをお願いするか、役所で閲覧する、
周辺の建物を観察したり、昔の地名を古地図であたってみるなど、自分で調べることもできます。
しかし、どれも時間と手間がかかるため、
地盤の状態を把握する際に使いやすい『地盤マップ』をおすすめします。
住所の入力のみで簡単に調べる事ができますので、
検討物件が出てきたら地盤マップで調べ、地盤の大まかな状態を把握しておきましょう。
『後悔しない為の自然災害重要ポイント4選』記事内で詳しく書いていますが、
国土交通省[ハザードマップポータルサイト]では津波災害や土砂災害の危険区域などを確認できるので、併せて確認しておきましょう。
地盤サポートマップの使い方
日本で初めて地盤品質保証を展開したジャパンホームシールド株式会社が提供しいる無料で利用できる地盤マップが『地盤サポートマップ』です。
住所を入力すると地図上にポイントが表示されます。
無料でレポートの作成も出来、防災情報まで閲覧可能な便利機能です。
さらに左側にある画面切替で地耐力を調べると、
このように地盤の強さが一目で分かりとても便利です。
地盤改良工事の種類と費用(坪単価と30坪の場合)について
地盤調査の結果にもよりますが、お家を建てる為に『地盤改良』をすることは一般的です。
これは、不同沈下などが原因でお家が傾いたりしてしまう事を防ぐのは当然ですが、
地盤が地震の揺れに弱い状態であった場合、災害が起きた時に地盤が崩壊してしまわないようにするためです。
地盤は建物が建つ土台となるため、
その建物を支える強度や安定性が重要です。
では、実際に『地盤改良』にはどのような工法があり、
それぞれどれくらいの費用がかかるのかを見ていきましょう。
表層改良工法(30坪60~90万円程度)
建物の足元をセメントで固めて強化する工法です。
- 軟弱地盤が浅く2m程度までの時に可能
- 土とセメントを混ぜ合わせたもので地盤を作る
- 工期は1~2日程度
- 費用は1坪(3.31㎡)あたり2~3万円程度
30坪の建物で60~90万円程度が目安です。
柱状改良工法(30坪90~150万円程度)
建物の基礎の下に電柱程のサイズのセメント柱が埋まるイメージです。
- 軟弱地盤が2~8m程度までの時に可能
- セメント系凝固材を地盤に注入し、柱状型に地盤を強化する
- 工期は2~3日程度
- 費用は1坪(3.31㎡)あたり3~5万円程度
30坪の建物で90~150万円程度が目安です。
鋼管杭工法(30坪150~210万円程度)
狭小地など大型重機の搬入が困難な場合にも使う工法で、金属の柱を打ち込みます。
- 軟弱地盤が2~30m程度までの時に可能
- 地中深くにある硬質地盤まで届く鋼管杭を打つ
- 工期は1~2日程度
- 費用は1坪(3.31㎡)あたり5万円~7万円程度
30坪の建物で150~210万円程度が目安です。
地盤改良工法のまとめ
それぞれの工法をまとめると次の表のようになります。
対応できる深さ | 工期 | 費用の目安:建物が30坪の場合 | |
表層改良工法 | ~2m | 1~2日程度 | 60~90万円程度 |
柱状改良工法 | 2~8m | 2~3日程度 | 90~150万円程度 |
鋼管杭工法 | 2~30m | 1~2日程度 | 150~210万円程度 |
検討物件の地盤情報と併せて参考にしてください。
まとめ
施工会社が決まっている『建築条件付き』の土地では『地盤調査費用』や『地盤改良費』を売主が負担するケースも少なくありません。
しかし、マイホームを建築するには必ず『地盤調査』は必要ですし、結果次第では『地盤改良費』もかかってしまいます。
土地を決め、建物の間取りを決め、地盤調査をした結果大幅な予算の見直しを迫られることもあります。
そうならないよう、『地盤サポートマップ』や『ハザードマップ』で検討している土地の状況をあらかじめ把握しておくようにしましょう。
土地探しをするうえで自然災害に配慮することも大事です。